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「やる気のない子をどう指導すればいい?」

きゅんぱちの教育談義です。

やる気のない子
やる気のない生徒
やる気のない部下…

「やる気のないシリーズ」の彼らをどうやって社会に貢献する有能な人材に仕立てていくか…。
これは、たとえば「親と子」「先生と生徒」「上司と部下」といった上下関係における様々なシチュエーションで、それこそ千差万別いろんな視点や手段があるわけです。
ゆえに、どうしたらいいか、悩ましいところではあります。

生き生きと目が輝いている子
闘志に燃えて部活に励む生徒
気の利かして問題解決に励む部下

には共通点がいくつかあって、その中でも私が特に注目しているのは、

「人生にとっての必然」を
「根拠」を踏まえて自分自身で
認識していること

なんですね。これが必然として「根拠」を持って認識していさえすれば、後は周りがとやかく言わなくても、自発的に行動を起こして粛々とコトを進めていくものだということです。
たとえば、よく誤解されるのが、
「なんでもいいからとにかく誉めればやる気が出る」
という主張。
これは実に中途半端という他はありません。こういうのを

「おだてる」

というのではないかと思います(笑)。
これでは、調子に乗られたり、つけあがって来られたりするのが関の山。
なので、「根拠」を踏まえることが肝要な誉め方なのだといえましょう。
逆にこの認識を怠ると、どういうことになるか。

他人にいいように使われてしまう
他人の評価が気になる
他人に自分の時間をとられてしまう
(これを生業とされる方々は除外)

などというような「自分の身にならない、よその人の為の不遇な人生」に陥る確率が非常に高まってくるようです。
「人の為」と書いて「偽(いつわり)」という漢字になりますし。
誰かの為の「私」じゃないし…。
もっとも、若いうちはそれでもウケがよかったりするものですから、これに甘んじていると、いつまでも他人に依存した人生を送ることになるのではないでしょうか、確率として…。

そんな人生のリスクヘッジのためにも、では、その「必然」をどうやって持たせたらよいかの実例を挙げながら、御質問者様の疑問にお答えしていくことに致しましょう。



御質問(QNo.2918371)

「やる気のない子をどう指導すればいい?」

質問者:noda1192さん
高校の教壇に立って思ったのですが、「やる気が無い」子供に「やる気」を出させるのは本当に困難だと思いました。
今勉強しとけば将来役立つ云々を説いたところで、勉強嫌いな子供にはあまり効果がありませんでした。

A君の場合:「勉強するまでが面倒だし、勉強しててもすぐ他のことを考えてしまう」そうです。ちなみに親は大学に行かせたいらしく、本人も行く気はあるのだそうですが、とにかく「やる気がない」んです。授業中も心ここにあらず、といった感じです。

B君の場合:「自分は覚えが悪い・集中力がない」「周りの勉強してるやつをみると引く」と言って、自分は卒業したら美容師になるから勉強はそこまでやる必要ない、と言っています。美容師になっても勉強することは山ほどあるから癖をつけた方がいいと言っても、「そのときにやる。やりたいことがあればそれに向かって頑張れる」と言います。しかし過去に勉強が嫌になってやりたいことを諦めた子を何人も知っています。

社会に出ても勉強することは山ほどあるし、それに適応できるようにするのが教師の役目だと私は思います。
これらの生徒をどう指導していけばいいでしょうか?
まAクンBクン個別の指導方法などもお聞きしたいです。
宜しくお願いします。

(質問者:noda1192さん)
これに対する私の回答を以下に記します。

回答 ANo.4
回答者:hankyu8200

やる気のない生徒を奮い立たせるためには、言葉で諭しても、本人たちの思い込みに打ち勝つ確率は低いもの。
ならば、劣等感から「自然と」ヤル気に変わる方策はないものか、一計を案じてみたらば…。
実例を挙げてみます。

その前に、御質問の中のnoda1192さん御自身の分析で、共通項目としてピックアップできますのは、生徒の集中力の無さ。
あと文中にはありませんが一見して無関心を装っている割には「他人の目が気になる」なんていうものあるかと思います。

私の知人で公立高校の教師をやっている「切れ者」がおりましてね。
確か夏でしたか、夏期講習を実施するといって、教室に勉強嫌いな生徒たち十数名を集めたんです。
その十数名の生徒たちは日頃自分たちが使っている教室に入るなり仰天。
なんと自分の席以外は「小学生」で埋まっていて、教室満員御礼という光景。
しかも担任の先生が教壇に立つわけではなく「小学生」たちが通っている塾の年配講師だったわけです。その講師は
「高校生の皆さんは基礎固めとして、小学生のみんなは某有名中高一貫校合格のためのカリキュラムを先取りして中学レベルの講義を行いまーす」
とやり始めたんですね。
しかも配り始めたテキストは高校生も小学生も共通。
知人の教師曰く、小学生たちは自分たちより年増な連中と肩を並べて目の色が変わったといいます。
対する高校生陣営、初めは不貞腐れていたものの、隣の席の小学生たちが声を潜めあって
「この問題すら解けないとなると合格は無理だよな」
なんて口をツいてささやき出すものだから、これに後押しされるように真剣になり出すという始末。
結果、出来のいい小学生も出来の悪い高校生も、秋以降は授業に対する姿勢が変わり、補講としての個別指導にも熱が入ったということです。
もっとも学校施設の借用については校長に経緯を説明し、教育効果について納得された上で許可をもらって実現したそうです。
このことから、御質問のような個別指導のカリキュラムを論ずる以前に、生徒たち自身が正に「身をもって」相対的な比較をし、否が応でもヤル気にならざるを得ない「仕込み」をかけることが、いかに効率を上げるかということなんでしょうね。

効率性やユニークさのある学習方法とは、履修する生徒たちが身をもって現実のレベルを直視し、

「これじゃいけないな」

と自然に諭させることがスタートラインになっている点が肝要なんだそうです。
私もかつては「落ちこぼれの生徒」でしたからね。出来の悪い生徒たちの気持ちはよく理解できます。

ともあれ、noda1192さんが将来にわたっても生徒たちから感謝される有能な教師として御活躍されることを御祈り申し上げます。




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けったま

子供をやる気にさせるのは大変ですよね。
上の子の高校は、3年になると
夏休み、冬休みはほとんど補習でした。
日曜日は模試が次々と入ってましたが、
笛吹けど生徒踊らずでした。
by けったま (2008-03-19 07:35) 

鉄道美術館館長♪

上司と部下、担任(先生)と生徒、そして親子と場面は様々ですが、人によって考え方や価値観が異なったりするので、下手に指導すると、今以上に意欲を低下させてしまうかも!?

時には褒め、時には戒める方法が良いんでしょうか!?
by 鉄道美術館館長♪ (2008-03-19 08:04) 

いわもっち

「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、誉めてやらねば、人は動かじ。。。」
(山本五十六でしたっけ。。)
私個人的には、「誉めて」もらうと動く(やる気が出る)方でした。
誉めるのって、難しいですけどね。。
by いわもっち (2008-03-19 08:12) 

hankyu8200

☆ けったま さん
機が熟せば、笛吹かずとも、生徒踊ってくれるでしょう。
そう願うのみですな。

☆ 鉄道美術館館長♪ さん
おっしゃる通りです。
価値観の押しつけが一番危ないと言えます。

アメとムチは「タイミング」といいますから…。

☆いわもっちさん
なるほどおっしゃる通りです。
動機付けになる「誉め方」が効果テキメンでしょうな。
その動機が、当方で回答申し上げた「根拠」とイコールになるわけだと思います。
by hankyu8200 (2008-03-19 11:08) 

たろちぅ

「勉強することは山ほどあるから癖をつける」!
うんうん。子供の頃の勉強って自分に意味がなさそうでも、
勉強する癖をつけてると思えば、贅沢な勉強だなって思う。
就職してから教習所に行って勉強するの苦労したの(ノ_-。)
勉強するのが苦手な大人ってソンしちゃう気がするの。

って、趣旨と違う?かな?
by たろちぅ (2008-03-19 14:47) 

hankyu8200

☆ たろちぅさん
これはこれは、コメントありがとうございます♪
その趣旨でもあるでしょうね。
質問者様もその趣旨で今まで生徒さんを諭してきたんでしょうけど…。

  成せばなる
  成さねばならぬ、何事も
  ナスの漬け物 うまかろう…

それでもいい結果が出ないということなのでしょう。
そうすると、これに対する回答は、ありていになっちゃうけども結局

  基本的に本人次第

なんですね。
これで普通は終わってしまう、と。
私ならば、このタイミングで当方の回答本文でも申し上げたような

  「根拠ある必然」

があれば、誰からもやいのやいのと言われなくても本人の努力に比例してグーンと成績成果を挙げることができる、そのことへの気付きなんですよ、とアドバイスしてあげたいなと思うわけですな。
じゃあですよ、そのタイミングでそんな必然なんか持てませんでした、ってな場合にはどうするべきかっていうと、これは私のあくまでも個人的見解ですが…。
たとえば成績成果は上がらずに、落ちこぼれてしまった、と。
するとたいがい、自分自身で「もうダメなんじゃないか」って思って

  成績成果=人間性

と誤解してしまいがちなんですね。
親や教師や上司の中にもそういう価値観を押しつける、イヤなヤツがいるもの事実。
でも、それを真に受ける必要はないし、そんな公式は間違っている、というのが私の持論なんです。
じゃあ、どうとりゃあいいのか、っていうと、勉強が「デキる」「デキない」の勝負を争うような「土俵」に、自分から上がらなければいいだけの話なんです。
どういうことか。
面の皮が厚いといわれるかもしれませんが、自分のデキの悪さを棚に上げてしまって、この土俵に勝てるデキのいいヤツと仲良くなり、そいつに土俵に上がってもらって(笑)、自分のできないところをやってもらえばいいわけです。
で、そいつが逆にできない弱みを自分がカバーしてあげる、このようなGive & Takeでなんとでもなるものなんですよね、本来は。
話がちょいと飛躍して恐縮ですが、「社長業」なんてのも、これの延長線上にあるでしょうな。
自分のこころざす事業の全般的な流れをしっかり把握したら、後はその方面の優秀なプロフェッショナルにお願いしてお任せすれば、いい仕事ができるわけですよ♪
そうすれば、自分が持っている力の何倍ものレバレッジがかかって、大きな成績成果を出すことができるわけなんですし…。

ちょいとまわりクドくて長文になっちゃいましたが、こういう視点から見た教育手法の方が風通しも良くなり、おまけに教育成果も上がる、教育を受ける方も成績が上がると、いいことの方が多いですよ、と申し上げたかったんです♪

ちなみに教習所で習う勉強は一番ストレスがたまりやすいと言われています。
私もトレーラ免許はさすがに挫折しましたからねえ(遠い目・笑)。
by hankyu8200 (2008-03-19 15:53) 

みみちゃん

こんにちは。
集団を機能させる方法論は実は単純で、2通りしかありません。できる人材のみを残すか/全体をケアするか、です。学校に求められるのは後者ですね。

しかも人間の管理能力には限界がありますから、全体をケアしようとしたら極限られた人間しか見ることができません。つまり教師というのは、もともと人間の限界を超えた職種だと思うのです。

俺の高校時代、それを見事に実践した教師がいました。「授業放棄」です。

その結果、生徒が持ち回りで教壇に立つことになり、我々は全国模試で(その科目のみ)順位ひとケタ代にかなりの人数が食い込むという現象が起きました。

これはかなりセンセーショナルな例ですが、「放棄」という形でコントロールできた実例のひとつだと思います。

一度視点を変えてみることですね。たぶん目の前の現実と使命感で、視野が狭くなってしまっているのでしょう。
by みみちゃん (2008-03-19 19:55) 

夢空

「褒める」と「おだてる」は違いますものね。
やる気を出させるのは、なかなか至難の技ですね。
指導者の腕の見せ所でもありますね。
by 夢空 (2008-03-19 21:08) 

hankyu8200

☆みみちゃん
渾身のコメントありがとうございます。
集団を機能させる方法論や視点を変えることは、まことにおっしゃる通り。
教師の視野狭窄化傾向の御指摘も、後述しますが、おっしゃる通りでしょうな。

みみちゃんのケースはですね、すでに基礎学力ができ上がっていて、いわゆる「デキのいいヤツ」が進学の志を持って集まった、ハイクラスの高等学校が成せるワザなんですな。
つまり、みみちゃんのおっしゃるくだんの教師は、みみちゃんたちのような学力レベルの高い生徒たちがさらに学力アップを図れるように、あるいはすでにそれを見越して、極めて有効な手段として「授業放棄」に出たのでしょう。
これと同じことを「底辺」と言われるような高等学校でやるとどういうことになるか。
私が見聞きした範疇ですと「授業放棄」→「即、学級崩壊」→「保護者の猛抗議」→「担当教諭の責任追及」→「閑職への転換」ということらしいです。
ちょいと話は脱線しますけど、これは「結果の悪平等」を標榜するどこぞの組合が「高校全入」を声高に主張して、なまじ「一億層中流」を目指していた当時の世間がこれを迎合してしまった結果だ、と私は思っています。
高校全入を押し進めた結果どういう事態になったか。
ハナっから勉強が嫌いで、たとえば中学出たらば職人になるようなつもりの子までもが高等学校に進学できるようにはなった、その結果が中途退学者の増大となったわけですな。
極めて残酷というほかはない!というもんだと思います。
なぜか。
ひとつに、元々勉強する気や学校へ行く気がない子に、進学校と同じカリキュラムを組んで授業をやるなどの愚行が原因であろうと言われています。
当然、模擬試験を受けても偏差値測定限界以下・合格率判定不能という結果におわる→教師が「こんな成績じゃあどうしようもない」と言って「おちこぼれ」のレッテルを貼る→さらにやる気をなくす→退学を決意する、という悪循環。
結果の悪平等、ここに極まる、という状況だったと言われてるんですな。
これ、はっきりいって、やる気のないボクサーを無理矢理リングに立たせておきながら水をぶっかけるようなマネと同じですな。

(中略)

今回の御質問者様の文面を精読しますと、「卒業したら美容師」などと言った言質を踏まえ、おそらく高卒後は就職する割合が多い学校であることが推測できます。
すなわち、言い方に語弊があれば恐縮ですが、このような言質があるケースでは、いまいち学力がパッとしない学校であることが多いんですな、「底辺」とまでは行かなくても。
なので、「底辺」から「中間レベル」もしくは「ハイクラス」へと歩を進めるようにするには、教師のみならず、生徒の方にも「根拠ある必然」があって、初めて教育成果に効果が出るのだ、というアドバイスをさせていただいた次第です。
by hankyu8200 (2008-03-19 21:28) 

hankyu8200

☆ 夢空さん
おっしゃるとおりです。
のちほどおうかがいさせていただきますね。
by hankyu8200 (2008-03-19 21:33) 

こうちゃん

環境が人を創るので、
そういう環境に置いてあげれば、いいのかな?
by こうちゃん (2008-03-19 22:26) 

hankyu8200

☆こうちゃん先生!
そういうことだと思います♪
by hankyu8200 (2008-03-19 22:31) 

solty

人の為でイツワリ・・うーむっ哲学です。
by solty (2008-03-19 23:50) 

Azumino_Kaku

こんばんは。

「これじゃいけないな・・」とさとらせる、難しいですよね・・
親として日々痛感します。
これだけの仕掛けを設定された方の努力と創意工夫に脱帽です。
by Azumino_Kaku (2008-03-20 00:58) 

hankyu8200

☆ soltyさん
いやはや、そんな大げさなものでもないですけども…。
by hankyu8200 (2008-03-20 01:35) 

hankyu8200

☆ Azumino_Kakuさん
仕掛けを設定した本人曰く、
「ほめてどうにもならなきゃ、残るは逆に屈辱感を与えてどう反応するかだな」
と言ってました。
泣かぬなら 泣くまで待とう なんとやら〜
ではないが、何か確信めいたものを持っていなければそこまでの発想もなかったと思います。
しかも今回のように第4者(=小学生)を起用するのも相当な勇気と巧妙な段取りが要求されるために、時間が立って徐々に効果が現れたときは、教師冥利に尽きる、と…。
by hankyu8200 (2008-03-20 01:41) 

yukindo

興味深い話、読ませていただきました。
by yukindo (2008-03-20 09:17) 

hankyu8200

☆ yukindoさん
これはこれは、コメントありがとうございます。
またのちほどおうがいしますね。
by hankyu8200 (2008-03-20 10:28) 

OJJ

興味深い話、『食っていける(餓死する心配はない・・多分)中で更に絶対に必要なものって何だろう?』と考えながら、読ませていただきました・・・

by OJJ (2008-03-20 10:40) 

hankyu8200

☆ OJJ さん
コメントありがとうございます。
なるほど。
飽食の時代にあっての自己実現に係る気持ちの持ちようとは、

  男の「意地」
  女の「ミエ」

これが、行動心理に大きく左右すると言っても過言ではない、というとことなのでしょう。
見せかけの「明るさ」や「華やかさ」というのは一歩間違えると「軽薄さ」と紙一重なわけですし…。
by hankyu8200 (2008-03-20 11:56) 

みゅう

ご友人の発想は面白いですね~!
確かにそういう方法は有効だと(^_-)-☆
いかに頭を柔軟に出来るかが必要なのでしょう。
学校の先生も全体を見なければならないから大変ですよね。

by みゅう (2008-03-20 15:15) 

hankyu8200

☆みゅうさん
コメントありがとうございます。
そうなんですよね。
ちなみに友人の教師は、その学校の中では異端者扱いされていました(本人談)。
すなわち、この教師が本質的な効果を挙げる教育手法を実践しているにもかかわらず、同僚や生徒がこれに気付かないんですね(笑)。
たまたま、校長先生に理解があったために成立したエピソードでした。
by hankyu8200 (2008-03-20 15:47) 

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