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はたして受験力は人生で必要な力なのだろうか?

ま、記憶力だけで勝負できる中学レベルから、論理的思考能力をも要求される高等学校レベルへとランクアップするとなると、このような観念論に悶々と悩まされることになるんでしょうな。
そういう背景から、回答文では繰り返しのクドい表現が入っています(苦笑)ので、何卒御了承願います。
それでは早速、御質問を御紹介することにいたしましょう。



御質問(QNo.3894102)

「はたして受験力は人生で必要な力なのだろうか?」

質問者:central10さん
僕が、国公立を受験する場合、センターや2次、第2志望まで含め、古文、漢文、現文、英語、数学、世界史、日本史、地学、現社が必要になってきます。
果たして、受験においてこのようなことを勉強したとしても、人生で必要な時が訪れるのでしょうか。
単に、受験して良い大学に入り、良い就職先につけば、それでこの力は終わりなのでしょうか。
僕はまだ16歳です。
大人の人に比べ、人としてまだまだ浅く、その僕の浅い人生観だけから考えれば、因数分解とか使うわけがない。
解の方式おぼえたとこでどうなんのや。
古文、漢文とか一生めぐりあうわけない。
物理、化学とか専門職の奴しかつかわんやろ。
などと考えてしまうのです。
ですが、先人が意味の無いことを教える訳がないということも、なんとなく理解できます。
専門職であれば、それに通じる科目が必要になってくるのでしょうが、もしその科目に関わりのない仕事に就いてしまえば、それで、もうその知識はムダになるのでしょうか。
教養の深い方の返事を待っております。

(質問者:central10さん)
これに対する私の回答を以下に記します。

回答 ANo.9
回答者:hankyu8200

私自身も高等学校に進学するや、central10さんと同じことを思っていたので、そのように考えてしまう気持ちはよくわかります。
だいたい、まだ遊び盛りなんだから

「勉強なんかイヤだ!」

と叫びたくなるのが普通でしょう。
ですが、御質問の表題にある「受験力」の意味を高等学校までの学力プラス受験テクニックという前提で「学力」という言葉に置き換えてお答えしますと、central10さんの進路にもよりますが、ズバリ、必要です。
ハッキリいうと、テストで点が取れる「点取り虫」のノウハウが社会に出てからも応用して役に立ちます。
あとにも出てきますけど社会に出ますと、職業を問わずして

  ○制限時間内にいわれたことを
   実行する能力があるかどうか

  ○問題解決能力があるかどうか

という視点で評価され、給料などの報酬が決まってきます。
したがって、central10さんが将来の永きにわたっても

「いい生活、豊かな生活がしたい」

と希望されるならば、絶対はずせない重要事項です。
たとえば、企業に就社して従業員になるにせよ、社会に出ていきなり起業するにせよ、個人事業主となるにせよ、ビジネスをするのであれば、どんな科目であれ、今の時期に養ったことや理解できた方法論といったものが、応用として役に立つ「確率」が非常に高いということなんです。
ただし、よく勘違いする人が多いので老婆心ながら付け加えますと、central10さんがいう「受験力」を高めるのは「目的」ではなく、あくまでも社会に出て御自身が納得する活躍ができるようにするための、ひとつの「手段」であるということです。
これを勘違いして社会に出てから失敗する人が実に多いので、先々注意が必要です。
あと、科目については、全ての科目が全部できる必要はないです。
むしろ、嫌いな科目、やりたくない科目は、そもそも今(その時点で)の自分には縁がなかったと思った方が精神衛生上ラクだと思います。
その上で

「どんなことができるか」
「どんな科目がやりやすいか」

という視点で、得意科目を見つけていくことをオススメします。
人生で必要な時が訪れるのでしょうか。 単に、受験して〜(中略)〜終わりなのでしょうか。
これはね、大人になってから、それこそcentral10さんが思いもよらないシーンで「教養」という形で役に立ってくれる時期がかなり高い確率で来るとだけお答えしておきます。
そのときまで覚えていなくても、人間の記憶というのは不思議なもので、あとになってたどってみると「そういえば高校の時、習った」というシーンもあり得るところでしょうな。
あるいは、高校のときは苦手だったようなことが、ある時期から俄然おもしろくなって勉強を再開した、なんてこともあり得るでしょう。

勉強する意味っていいますのは、言い方は悪いですが、社会に出て central10さん自身がメシが食える人間に進化していくことに必要不可欠だといえます。
どういうことかっていいますと、central10さんが持っている能力を最大限に引き出して、社会に出て発揮できて納得のいく報酬をもらえるようになる、ということに他なりません。
学力を高めることは、その目的に対する手段の一つであります。

では、この先 central10さんが経験されるであろう大学受験あるいは企業への就職試験・企業内での昇進考査といった「関門」では、一体何が問われるのか。これは、

  ○制限期間内に指示されたことを
   こなす能力があるかどうか

  ○効率改善、利潤追求に係る
   問題解決能力があるかどうか

といえまして、これが重要な尺度であり大原則なわけですな。
この尺度を測って成績・成果が残せた人だけが、今後様々な職業人生の局面で「勝ち組」として生き残っていく、という極端なことはないにせよ、人生を大きく左右するという事実が歴然としてあるわけなんですね。
たとえば、就職活動にあっては、

「一流大学の看板がある人と
ない三流大学の人との差」

「国公立大学と私立大学との
性質的な違い」

この2点は歴然としてありますし、企業側も当然のごとく認識しています。
ここで「企業側の本音」を探ってみますと、基本的には自社にとって役に立ってくれれば、学力なんて関係ないが、大部分のところで大学に入るだけの能力のあった人と、社会で役に立てる能力を持っている人とが一致してきている不幸な事実があるために、確率的に一流大学出身者を採用しているにすぎない、というわけです。
これは極端な話、学歴を伏せて採用試験を実施しても、結果的に上位成績の方から採用していくと、フタを開ければ一流大学出身者で占められている、というわけです。
「国公立大学と私立大学との性質的な違い」というのは、とくに論理的思考力を試す論述試験を実施しますと、国公立大学出身者の方が上位成績を獲得することが多いということです。
これは現実として大学入試の段階から論述もしくは小論文問題をやっているということから見ても、この種の問題に慣れているということがうかがえます。
もしその科目に関わりのない〜(中略)〜ムダになるのでしょうか。
社会に出てからすぐにそのような判断が効くかどうかは、正直言ってその時になってみないと誰もわかりません。
ただいえることは、学習方法や集中力の高め方、あるいはイヤな勉強を取り組んでみようと思う

「必然性」

を持つといったことは

「応用が利く」

であろうと推測できますし、その視点で見ればムダではないと、気がつくはずです。

これからcentral10さんが学ぶであろう科目については、ひとつ、ヒントとして次のキーワードを視点として、

「得意科目にしよう」

と思うか、

「縁のなかった科目」

としようか、考えてみるとおもしろい結果が出てくるかもしれません。

  ○記憶力
  ○知識・常識・教養をふくめて
   物事を正しく理解する力
  ○判断力
  ○論理的思考能力

そして

  ◎実行力

です。最後の「実行力」は前の4つの力が備わっていても、実際に役に立つ行動に活用できなければ宝の持ち腐れになります。
たとえば高等学校での中間・期末考査や大学受験でのいわゆる

「アウトプット」

に慣れるための対策演習をやっていなければ、いくら知識がついたところで成績や成果に結びつかなくなります。

central10さんは、こういうところへ今回のような質問をしてくるだけでも将来の見込があると思いました。
また、わからないことがあれば、別スレッドにてどしどし質問してみてくださいな。

将来にわたって、central10さんが納得のいく充実した人生を歩まれることを、御祈り申し上げます。


この回答に続く御質問者様の返礼文は、こちら。
「はたして受験力は人生で必要な力なのだろうか?」



P6061711.JPG
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P6061710.JPG



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タグ:受験
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コメント 14

いわもっち

これ、ほんとに16歳の子かなぁ。。
知識は無駄にはならない。
確かに因数分解が、大人になって役に立ったことはない。
でも、若い時に、脳ミソが活性化しているときに、いろいろ活用しておいた方がいい。
若い時から、専門バカになる必要もない。。
目先のことばかり、気にするな。
by いわもっち (2008-07-04 08:40) 

夢空

久々の素晴らしい回答をじっくり読ませていただきました☆
今の高校生諸君に聞かせたいお話ですね。確かに今は意味のないことに感じるでしょうね。いつか気付く時期があるのでしょう~(^^)
by 夢空 (2008-07-04 10:56) 

あら!みてたのね

こんにちは・・・
お見事なご回答、じっくりと読ませていただきました!
誰もが一度は通る、矛盾・・・それを疑問としてぶつけるってこと、とっても大事なことですね♪
将来が楽しみな質問者の高校生にnice!
by あら!みてたのね (2008-07-04 11:46) 

K2

お久しぶりです。
読ませていただきました。
いつもながら的確ですばらしいご回答です。

しかし学校の先生はこういった事は生徒にはおしえないのでしょうかね・・・。 
色々と疑問に思ってそれを解決して進んでいってもらいたいですね。  頑張ってほしいです。


by K2 (2008-07-04 13:25) 

okko

そのときは無駄だとおもっても、その存在をしっている、ということの積み重ねが「教養」に結びつくのだとおもいます。数学関係、大嫌いだったワタシも、サイン・コサインというものがある事を知っているだけで、満足しています。
当事者には、年を経ないとわからない気持ちですね。ご立派な回答でございます。
by okko (2008-07-04 14:11) 

こうちゃん

必要でもあり、無駄でもあるような・・・・
by こうちゃん (2008-07-04 14:14) 

みどれんじゃー

これはこれは、いつの時代も同じ^^
みども全く同じこと考えながら、文句タレながら学生してました。
でも、hankyu8200さんのお答えと同じ、
社会に出てから、必ずしも化学の記号や、
数学の方程式を使う仕事に就かなくても、
仕事のプロセスや、人とのかかわり方にリンクしてくるんですね。

by みどれんじゃー (2008-07-04 16:20) 

SilverMac

素晴らしいアドバイスですね。
by SilverMac (2008-07-04 16:27) 

OJJ

お見事なご回答で、その優しさに感心しました。
質問がちゃんと出来るだけの表現力が有るから・・回答を読み取るだけの理解力が有るから・・役立ってるんでは?
無駄な知識は無駄に使えます・・・コレ意味無いか~
by OJJ (2008-07-04 19:15) 

みみちゃん

こんにちは。
質問自体がちょっとねじれていて、受験力と勉強の意味は違うんですが、俺がこれまでにやってきた仕事では…、

◆国語:仕事で使いました。
◆古語・漢文:仕事で使いました。
◆数学:大学レベルより上まで必要でした。
◆理科:仕事で使いました。
◆社会:仕事で使いました。
◆英語:読めなきゃ話になりません。

ま、ぶっちゃけ全部必要でした;;;。

どういう職についても、仕事仲間との会話は必要だし、最先端の話題は日本語で書かれているとは限らないし、結局全部必要になりまよね。

本質は、別に彼の考えが浅いというのではなく、親やガッコがそれを彼にしっかり教えてやらないとイカンと思います。
by みみちゃん (2008-07-04 21:21) 

TAKA

こんばんは
久しぶりに、素晴らしい回答を拝見しました。私のような
青二才が、何も申すことはないと思ますが、敢えて私見を
申し上げるならば、若い頃の努力は決して無駄に
ならないと思います。古文、漢文、現文、英語、数学、
世界史、日本史、地学、現社がなんの役に立つのか?
長い人生さまざまなシチュエーションに出くわしますが、
いろんな知識はある方がいいに決まっているのです。
例えば、RFP(提案依頼)がお客様からきたとします。
要求されている内容の行間を読む読解力や、提案する
ためのボキャブラリが必要ですし、お客様に説明する
ときには、関連する過去の事例や、昔の有識者の言葉を
併用するなど、その提案書の質を上げるために、
さまざまな知識のバックボーンが必要です。
たまたまRFPを例にあげましたが、これから先の人生で
歴然の差を生むと思います。
物理、化学においても、物理とは、文字通り物の理と
いうことです。この世に存在するすべてのものの道理を
知っておくほうが、これから先の人生を豊かに生きられる
と思います。化学においても、クロライドが気体に
なれば、人体に影響を及ぼすことを知っているだけで、
塩素系洗剤を使用時には危険予知ができますし、
硫化水素が水によくとけるという性質を知っていれば、
濡らしたハンカチでもかなりガードも可能だと思いますし。
知っているだけでなく、その知識の引き出しを的確に
開けるようにメンテナンスしておくことと、取り出した
知識を応用する力が必要です。
応用力についても高等教育においては、学ぶことが
できると思います。人は生涯学ぶ権利をもっており、
学ぶことにより、以降の人生をより豊かにできると
思っています。
すいません。とりとめもなく記述してしまいました。
by TAKA (2008-07-04 22:47) 

Azumino_Kaku

んん、誰もが通る道、でもきゅんぱち先生のアドバイスがもらえた
この方はラッキーですね・・
そういえば私も三田のあたり、最近通りますが、なかなか良い街ですね。

by Azumino_Kaku (2008-07-04 23:22) 

masugi

結局、大人になってそれら学習の総合である
「教養」がないというのは、会話力も乏しくなって
つまらない人と思われてしまいますよね。
いつもながら、素晴らしいアドバイスです~。
by masugi (2008-07-06 17:09) 

hankyu8200

◎◎気鋭のコメンテーターの皆様、
久方ぶりでございます。
今回の回答は今までの記事でも散々お応えしてきている内容ですので、常連のコメンテーターの皆様には、いささかクドすぎる内容であったかもしれません。
この点はひらにご容赦願います。
では、気を取り直して行ってみましょうか(どこへ?)


☆ いわもっち さん
きゅんぱちは年齢は見ていませんでしたよぉ♪
というのも、男子学生や女子学生を問わず、19や20歳ぐらいの進学したてのコや2浪3浪のコの話を訊いた事がかつてあるんですが、同じようなもんでしたし。
逆に13や15歳クラスではここまでのボキャブラリーが構築できているかどうかは個人差がわりと激しいですからね。
考えあぐねる年齢層に入るとは思いますけどねぇ。
今回の質問はコトの当事者本人からですけども、かつてOKWaveでも受験生の母親が受験生本人に預かり知らない段階で、不安をボヤく質問をよこしてきた事があって、これにはさすがにあきれまして、回答文で叱り飛ばした事がありましたねぇ(笑)。
ともあれ、やる前からガタガタぬかすな、という視点は大いに有りですよね。
コトを始めてから、できるかできないかを冷静に判断する姿勢にシフトしてほしいものですから。

☆ 夢空 さん
おっしゃるとおりですよね。
その気づいた時に、どういう手段をとるかは、その人その時の状況によるだろうと思いますけれども、なるべく早く気づいてもらえる事を願うしかないんでしょうな。

☆ あら!師匠
これはこれは、恐れ入ります。
おっしゃる通りで、入口はたかが観念論であったとしても、論の通じるもの同士の議論を通じて哲学的なプラス思考へと昇華させる事に、なんらのマイナスはないと思っています。
ありがとうございます。

☆ K2 さん
これはこれは、恐れ入ります。
公教育の教師の方々には残念ながらこの手の事を求めてもムリな側面というものがあるようです。
私らが受験生のころは、友達であったり、個性的な予備校の先生との個人的な付き合いであったりしたものですが、今はどちらもそのレベルにまで付き合ってくれる輩がいてくれないんでしょうな。

☆ okko さん
これはこれは恐縮です。

>年を経ないとわからない気持ち

これはズバリ、おっしゃる通りだと思います。
かの林真理子女史は、とあるエッセーの中で、
「教養とは、まわりの人々をアッと言わせる素養である」
とおっしゃっていて、きゅんぱちもなるほどそうだよなぁ、と思っています。
一見、てんでモノを知らなさそうなコが、結婚式の記帳で実にあざやか、水茎クッキリの綺麗な毛筆書体を魅せる、なんてのは、きゅんぱちも経験した事がありますけどもね(笑)。

☆ こうちゃん 先生!
全ての科目のスペシャリストを集めたゼネラリストってぇのはあり得っこないわけですからねぇ。

☆ みどしゃん
…そういうことですよね。^^

☆ SilverMac さま
これはこれは、恐れ入ります。

☆ OJJ さま
人を笑わせる事が出来れば、ムダではなくなるような気が、OJJさんを見て、実感するようになった、今日この頃です(笑)。

☆ みみちゃん
さすがにみみちゃんのような実行力のある人のレポートほど説得力のある説明はないと思いました。
残念ながら公教育の教師にこれを求めていくのは、今の教員養成システムからして、非常に難しいでしょうけどね♪
年齢が16であろうと、40であろうと、自身にとって希望の持てる人と巡り会い、トコトン話し合いができるかどうか、なんでしょうな。

☆ TAKA さん
おっしゃるとおりで、習った事を習った範囲外にもスライドさせて応用が利かせる事の出来る能力があってこそ、知識は生きるというものですもんね♪

☆ Azumino_Kaku さん
これはこれは、恐縮です。
三田に限らず、学生街っていうのは、何と言いますかね、明るいムードがあって、いいですよね♪

☆ masugi さん
これはこれは、恐れ入ります。
おっしゃる通りだと思います。
会話力の乏しさほど、バイ・ネームで仕事をする時に、足を引っ張るものはない、と言いますもんね♪
ありがとうございます。
by hankyu8200 (2008-07-07 02:39) 

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